623 RC回路の過渡応答理論
過渡応答は,対象回路の電圧または電流に対する微分方程式を解くことによって理論的に説明できる.
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図623.1 $ RC回路の過渡応答特性測定回路
図623.1 のコンデンサにかかる電圧$ v_2と電流$ iとの関係はこうなる.
$ Cv_2 = Q = \int^{t}idt,即ち,$ C\frac{dv_2}{dt} = i
また$ RC回路内の電圧$ v_1,$ v_2の関係は次のようになる.
$ v_1 = R i + v_2
これらより次の微分方程式が得られる.
$ CR\frac{dv_2}{dt} + v_2 = v_1……(623.1式)
※この$ v_1は一定.$ v_{1 (t \geq 0)}=E_0=const.
本実験では$ v_1=1.0Vとする.(623.1式)の一般解は
$ v_2 = A\exp\left(-\frac{t}{CR}\right) + E_0……(623.2)
※線形微分方程式の一般解は,特別解とその同次方程式の一般解との和で表される
初期条件$ v_{2(t=0)}=0.0Vより$ v_2の過渡応答は次のように求まる.
$ v_2 = E_0\left\{1 - \exp\left( -\frac{t}{CR}\right)\right\}……(623.3)★この式は超重要!
前述したように,この時間変化の様子は物理現象における典型的なパターンであり,式(A.3)中の$ CRはこの変化の速さのパラメータになっている.
★時刻$ t=CRの時,電圧はその最終値E0の約63.21%である.
※$ 1-e^{-1} \fallingdotseq 0.6321205588
→ この$ CRの値が回路の時定数$ \tauである.
★$ \tauの次元は「時間」で,単位は「秒」である.
※$ \tauはまた,周波数特性における遮断周波数$ f_cとも密接な関係がある.
これらより,$ RC回路の過渡現象の観測から$ \tauを見つけられる.
また時刻$ t \ll CRの時,$ v_2 = E_0\frac{t}{CR}となり,積分回路として働いていることがわかる(図623.2の鎖線).
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図623.2 過渡応答特性と時定数(再掲)
この原理理論を元に,$ RC回路の過渡応答特性の観測を行う.
以上.
2024/4/8